神戸商工会議所は、企業のデジタル化・DX支援の一環で、企業の現場訪問によるデジタル化提案・伴走支援事業(ココデジ ~業務のココをデジタル化~)を実施した。 本事業では、地元の専門家(エンジニアチーム)が実際に企業を訪問し、業務見学を行った後、業務におけるデジタル化可能な点を提案し、議論するアイデアソンを実施する。 この度は、おつまみや水産加工品などの製造を行う井上食品株式会社(神戸市西区)を4名のエンジニアが訪問した。
相談企業側の課題としては以下3点が挙げられた。
・社内デジタル人材がいないため、現在の業務をのデジタル化やその進め方が分からない。
・パートのシフト管理を紙で行っており、調整に手間がかかっている。
・ナレッジやマニュアルの共有は紙を使用しておりアナログで、さらに量が膨大であるため、理解するのに時間を要している。
上記課題と業務見学を元に、エンジニアチームから以下の通り提案
・製造現場では、アナログとデジタルが必要に応じて使い分けられている。現状の工程にデジタルや自動化を加えることは、むしろ業務効率を下げてしまう可能性があり、現状で問題はないと考えられる。
・パートやアルバイトのシフト管理は、「LINE WORKS」の活用が選択肢の一つ。LINEは利用している従業員も多く、導入ハードルは低い。シフト管理にツールを導入することで、シフト作成の手間を省くことができる。さらに、個人の生産能力や適性を加味することで、最適なシフト配置を可能にできると考えられる。
・ナレッジやマニュアルの共有は生成AIを活用したチャットボットを使用するのも選択肢の一つ。導入費用はそれほど高額ではない。社内のマニュアルをAIに読み込ませるため、膨大な資料から正確な情報を従業員がすぐに手に入れることができる。
・社内のデジタル人材を現状必要とはしていないということであったが、社内の若手人材の育成を進めることは必要。こうした人材がいれば少しのデジタル化や既存のシステムの更新に手間がかからない可能性がある。
井上食品株式会社 代表取締役社長 井上 淳也 氏からは、本事業を通してエンジニアの方と率直に意見交換できたことが有意義だったという意見があり、今回限りでなく、引き続き細かい相談をさせて頂きたいという声があった。
エンジニアチームによる提案は、社内でも共有し、導入の可否を検討する運びとなった。
当会議所は、地元企業のデジタル化を支援するため、引き続き本事業を実施していく。