第5回KCCI Startup Pitch & Meet サステナビリティな世界の実現
神戸商工会議所は、兵庫県内を中心に事業展開するスタートアップが自社の製品やサービスを紹介するピッチイベントを定期的に開催している。5回目となる今回は、「サステナビリティな世界の実現」をテーマに、スマート養蚕システムの開発や高性能魚群探知機、3Dプリンター住宅の提供、高濃度で水に溶ける技術の開発など、サステナビリティな事業を展開するスタートアップ4社が登壇し、地元企業に協業を訴えた。
ピッチ終了後には、世界で初めて微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養に成功し、これを活用して健康食品や化粧品、バイオ燃料の開発を行う㈱ユーグレナ代表取締役社長の出雲充氏を講師に招いて特別講演を行った。
出雲氏は、起業のきっかけになった学生時代の経験として「バングラデシュを訪れた際、深刻な貧困により、多くの人々が栄養失調に陥っていたことに衝撃を受けた」と説明。ユーグレナには人間に必要な栄養素が備わっていることから、「ユーグレナで人々を救うことを決意した」と振り返った。当時、専門家から培養は不可能とされていたが、何度も壁にぶつかりながら試行錯誤を繰り返し、大量培養の技術開発に成功。しかし、営業活動を始めたものの製品への理解がなかなか得られなかった。資金ショート寸前の危機の中、501社目にしてようやく協業先が見つかり、事業が軌道に乗ったエピソードを紹介し、「ある法則に基づくと、成功確
率が1%でも459回挑戦すれば99%成功する。生まれ持った家柄や才能ではなく、繰り返し努力し続けることこそが成功の秘訣」と強調した。
また、日本企業が成長していくためには、「イノベーションが欠かせない」と述べ、そのためには、様々な価値観の意見を取り入れる“Talk Out side(外部との対話)”が重要であることを訴えた。
最後に、バングラデシュで恩師となる人物に出会い、そのおかげで夢をあきらめずに努力できたエピソードを紹介。地元経営者に向けて、「若者に夢を与えるような“メンター”となり、日本の若者やスタートアップを応援してほしい」とメッセージを送った。
講演会終了後は、出雲氏や登壇スタートアップと参加者との間で活発な交流が行われた。